少しずつ違う、という選択
クローゼットに並んだ黒のパンツたちを眺めながら、
また一本、増えてしまいそうだなと、ふと思いました。
どれも似ている。
でも、どれも違う。
穿き心地、シルエット、生地の質感。
言葉にすればほんの小さな違いなのに、
朝、何を選ぶかは意外と感覚的で、決まっているようで決まっていません。
今日はすこしだけ軽い生地がいい。
今日はゆったりリラックス感がある方がいい。
細めにストリートな感じを取り入れたい気分。
ドレス感のある生地が、今の気分にちょうどいい。
などなど。
そんなふうに、黒のパンツは、
自分の小さな変化や気分に、驚くほど寄り添ってくれます。
誰かに見せるためじゃなく、
自分自身の輪郭に合う一本を選ぶような感覚。
そしてまた、少しだけ違う一本に、目がとまる。
すでに持っているはずなのに、
それでも惹かれてしまうのは、きっと気分の輪郭が少しだけ変わっているから。
季節の光、歩く道、ふと聴いた音楽。
そんなものたちに静かに影響されて、
黒のかたちも、少しずつ変わって見えてくるのかもしれません。
黒はいつも変わらない。
けれど、そのなかにある“わずかな違い”こそが、
今の自分を映してくれる気がしています。
Kosoko