壊れたカメラのデータを見ていたら、また一枚見つかりました。
2020年の日付。場所は、どこかの展覧会のよう。
雑誌のカットがいくつか並んだ展示。
ファッション系の展覧会だったのだと思いますがまた記憶がない。
どこで見たのかも思い出せません。
展示されている写真全体に漂う、ねっとりとした湿度。
この質感は、90年代から2000年代前半くらいの空気感でしょうか。
どこか気だるさを含んだ、モデルの曖昧な眼差し。
雑誌が、まだ今よりずっと大きな影響力を持っていたころのもの。
一枚の表紙がムードや流行を生み出し、街の空気を動かしていた時代。
近年また流行りとして「平成レトロ」や「Y2K」という言葉をよく耳にします。
ちょうどそのあたりのものだと思います。
勿論もっと令和的なドライなポップ感で上書きしてのリバイバルなのでしょう。
「不易流行」。
流行りは巡るもの、変わらぬものを芯に持ちながら、新しいものを自然に取り入れていく。
時代ごとの空気に触れるたび、そんな感覚もまた、少しずつ育っていくのかもしれません。
Kosoko